日本の仮想通貨(暗号資産)に関する税制は、年々変化しており、2024年度にもいくつかの重要な改正が行われました。

以下に、現在の税制および改正内容について詳しく説明します。

仮想通貨の課税方法

日本では、仮想通貨で得た利益は「雑所得」として分類され、総合課税の対象となります。

これにより、他の所得(給与所得など)と合算され、その合計額に応じて累進課税が適用されます。所得税率は5%から45%まで段階的に上昇し、さらに10%の住民税が加わるため、最大で55%の税率が適用されることになります[1][2][3]。

課税対象となる取引

  • 仮想通貨を売却した場合
  • 仮想通貨同士を交換した場合
  • 仮想通貨を使って商品やサービスを購入した場合

これらの取引で得た利益が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です[3][4]。

所得の種類概要
利子所得預貯金や公社債の利子、合同運用信託、公社債投資信託の収益の分配に係る所得
配当所得株主や出資者が法人から受ける配当や投資信託の収益の分配などに係る所得
不動産所得土地や建物などの不動産、借地権などの権利、船舶や航空機の貸付による所得
事業所得農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生じる所得
給与所得勤務先から受ける給料、賞与などの所得
退職所得退職により勤務先から受ける退職手当や厚生年金基金などの加入員の退職に基因してい支払われる一時金などの所得
山林所得山林を伐採して譲渡したり、立木のまま譲渡することで生じる所得
譲渡所得土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のもの
一時所得利子所得から譲渡所得までのいずれにも該当しないもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のもの
雑所得上記のいずれにも該当しない所得例)・公的年金・副業に係る所得 など

2024年度の税制改正

2024年度には、法人や個人投資家に影響を与えるいくつかの重要な改正が行われました。

法人向けの改正

法人が保有する第三者発行の暗号資産について、期末時価評価による課税が一部除外されるようになりました。

具体的には、「譲渡制限」がある暗号資産については、期末時価評価の対象外となります[1][7]。

これにより、企業が暗号資産を保有しやすくなり、日本国内でのブロックチェーン関連ビジネスの発展が期待されています。

非居住者に関する報告制度

非居住者による暗号資産取引情報は、自動的に各国間で交換される仕組み(CARF:Crypto-Asset Reporting Framework)が整備されました。

これにより、日本国内で取引を行う非居住者も、取引情報が自動的に報告されるため、適切な納税が求められます[1]。

課税される所得金額税率控除額
1,000円から1,949,000円まで5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,330,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

業界団体からの要望と今後の見通し

仮想通貨業界では、長年にわたり「分離課税」の導入や「損失繰越控除」の適用を求める声があります。

現在は雑所得として総合課税されていますが、これを株式などと同様に20%の申告分離課税とし、損失についても翌年以降3年間繰越控除できるよう求めています[2][5][6]。

また、仮想通貨同士の交換時点ではなく、法定通貨への換金時点で課税する仕組みへの変更も要望されています。

このような改正が実現すれば、日本国内での仮想通貨取引がさらに活性化する可能性があります[5][6]。

税制のまとめ

日本では仮想通貨による所得は雑所得として扱われ、高い累進課税率(最大55%)が適用されています。しかし、2024年度には法人向けの期末時価評価課税に関する緩和措置や非居住者向けの報告制度など、一部改善も見られました。

今後も業界団体から分離課税や損失繰越控除などさらなる緩和策が求められており、それらが実現すれば、日本国内での仮想通貨市場は一層活性化する可能性があります。

要望骨子概要
分離課税暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。
暗号資産デリバティブ取引についても同様とする。 
法人税ブロックチェーン技術を活用した起業等への阻害要因を除去し、Web3.0推進に向けた環境整備を図る観点から、法人(発行者以外の第三者)が短期売買目的以外で継続的に保有する暗号資産について、期末時価評価課税の対象外とするよう要望する。 
資産税相続により取得した暗号資産の譲渡時の譲渡原価の計算について、取得費加算の特例の対象とすることや、相続財産評価について、上場有価証券と同様、相続日の最終価格の他、相続日の属する月の過去3ヶ月の平均時価のうち、最も低い額を時価とすることを要望する。
暗号資産同士の交換暗号資産取引に関する損益は、暗号資産同士を交換したタイミングでは課税せず、保有する暗号資産を法定通貨に交換した時点でまとめて課税対象とすることの検討を要望する。

仮想通貨の税金を計算するためのツールは、取引履歴の自動収集や損益計算の自動化など、確定申告を効率化する機能が充実しています。

特に取引が多い場合や複数の取引所を利用している場合、手作業での計算は非常に手間がかかるため、専用ツールの使用が推奨されます。以下におすすめの仮想通貨税金計算ツールを紹介します。

おすすめ仮想通貨税金計算ツール

1. クリプタクト

「クリプタクト」は、多様な取引所や10,000種類以上のコインに対応しており、API連携によって取引履歴を自動取得できます。

ポートフォリオ機能を備えており、現在の保有資産の時価や簿価をリアルタイムで把握できるため、投資状況を簡単に管理できます。また、確定申告に必要な書類も自動生成されるため、申告作業が大幅に効率化します[4]。

2. Koinly

「Koinly」は、取引所やウォレットからデータを自動同期し、損益計算やキャピタルゲイン・ロスを自動で算出するツールです。秘密鍵なしで取引所アカウントやウォレット情報を安全に管理できる点が特徴です。

海外取引所にも対応しており、特にステーキングやDeFiなどの複雑な取引にも対応しています[4]。

3. Gtax

「Gtax」は、個人向けだけでなく法人や税理士向けにも対応した仮想通貨税金計算ツールです。

主要な会計ソフト(freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計など)と連携できるため、仕訳データの作成もスムーズです。仮想通貨取引の収支計算を一括管理できる点が便利です[4]。

サービス名無料プラン有料プラン
クリプトリンク取引データDL機能、収支計算報告書機能、仕訳作成・エクスポート機能は利用不可。取引明細件数は30,000件まで。有料プランは年額18,000円から。すべての機能を利用可能。プランに応じて取引明細件数が増える。
クリプタクト国内取引所の自動対応が利用できる。1回のファイル容量50MB。年間取引件数50件まで。有料プランは年額8,000円から。ランクに応じて機能が開放される。海外取引所の自動対応はライトプランから、すべての機能を利用できるのはアドバンスプランからになる。プランに応じてファイル容量/年間取引件数が増える。
Gtax対応取引所に制限あり(主に国内取引所・ウォレットを扱うグループAのみ)。DeFiデータは対応不可。取引件数100件/年まで。有料プランは年額7,500円から。ライトプランから、海外の取引所・ウォレットを扱うグループB、DeFiデータに対応できる。プランに応じて取引件数が増える。
Koinly税務レポートのメイン機能(国際税務レポート、税務調査レポートなど)に制限がある。取引件数は10,000まで、ウォレットと取引アカウントは無制限で利用可能。有料プランはNEWBIEプラン年額$49から。すべての機能を利用可能。プランに応じて取引件数が増える。

まとめ

仮想通貨の税金計算は複雑になりがちですが、「クリプタクト」や「Koinly」などの専用ツールを使うことで、自動的に取引履歴を収集し、損益計算や申告書類作成が効率的に行えます。

特に取引量が多い方や複数の取引所を利用している方には、これらのツールが非常に役立つでしょう。

出典:
[1] https://crypto-manage.jp/column/43
[2] https://www.sakurajimusyo.com/opinion/law/960/
[3] https://crypto-city.net/media/japanese-tax
[4] https://relipasoft.com/blog/crypto-tax-japan-2024/
[5] https://www.coindeskjapan.com/249672/
[6] https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB298730Z20C24A7000000/
[7] https://www.yamada-partners.jp/hubfs/zeikai/2024-documents/D12.pdf?hsLang=ja-jp
[8] https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-09-30/SKMBYGT0AFB400

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